哲学と冗談

L'amore più profondo non può essere facilmente compreso.

電車が苦手

今更だが、電車通勤が苦手なのである。

満員電車とか不特定多数の人との接触が嫌、とかもあるけど、なによりプリミティブでない移動の仕方に違和を感じすぎて、上手く電車に乗ることができない。

例えば8時に家を出て徒歩で駅まで行って、改札を抜けてホームで待ってそこから8時7分発の電車に乗り、車両に乗っている間は「私の仕事W=力F×距離L=ゼロ」なので【無】であり、ドアが開いて階段を上り改札を抜けて出口まで行くと別の駅に8時20分とかに着いてるのだ。怖い。怖すぎる。錬金術でも使っているんじゃないか。私は何もしていない!

8時20分に目的駅に着きたいとして、逆算して8時7分発の電車に乗る、みたいなことができる人が不思議で仕方ない。この人たちは、電車の車両の床に足を乗せているだけで本当に時間通りに大手町駅に到着すると思っている、すごい、現代人だ、アトムの世界だ、犯罪都市Neoトーキョーだ。

一方、私が電車に乗る時はいつも早すぎるか遅すぎる。電車に乗ってる間の自分が車両ごとところてんになったみたいで、そこの時間軸だけグニャリとゆがんでしまうのだ。

あまりにも電車に乗る才能が無さすぎて、「ADHD遅刻あるある」みたいなwebページ読んで解決策を望んだのだけど「前日決めた時間の通りに、家を出ましょう」みたいな対処療法しか書いてなくて落ち込んだ。

私は時間通りに電車に乗る方法ではなく、電車のことを移動手段として主体的に信じる方法を知りたかった。

そこで、今度は23区の東京メトロ路線図を駅で貰ってみた。駅名を覚えることはできたが、私の中では半蔵門線青山駅丸ノ内線四ツ谷駅もただの細長い箱に見える、その2つが赤坂見附駅を介して繋がっているという事実は、クロスワードパズルのクロスになっている部分の文字は み です、くらいの情報量しかなかった。

3次元で考えてみたら上手くいくかもしれないと思って、地下鉄の立体路線図をダウンロードしてみたらこれが案外上手くいって、少しだけ電車への信頼度が上がった。私と同じような電車懐疑派の方にはおすすめです。

しかし私はまだ電車に対し全幅の信頼を寄せているわけではない。なぜならメトロ立体路線図を頭に入れても、それはあくまで東京地下鉄株式会社の歴史的背景や物理的な距離と営業キロとの差分が明確になったというのみで、8時7分の電車に乗るために駅のホームに8時6分までに着くといったことはもっと根本的でソーシャルで文化的な、なにか私の知らない信仰が国民の間で発達しているとしか思えない。なのでこれは電車の問題ではないですね、恐らく人間の知恵や常識を超えたところにある人類観のようなものでしょう。私も早く「そっち側」にいきたいものです。どなたかご教示願います。

 

現在、幸運なことに職場の近くから歩きで通えている。やはり徒歩は最高、完成されたプリミティブ。

電車通勤だったら、私は今頃仕事を辞めるかクビになっていた。本当に、電車に乗ることができない。時間制限があると更に具合が悪くなる。

毎日電車で通っていてそれが一定期間続いているあなた、人類の中でも上位層の限られた才能の持ち主です、誇っていいと思います。

私と同じ症状のあなた、頑張ってきましたね。今までは挫けたり落ち込んだりすることが多かったかもしれません。しかし、救いはあります。朝、会社の最寄駅で乗り込んできた人を呼び止めて家を交換してもらいなさい。

 

みんなで素敵な電車ライフを送りましょう。