哲学と冗談

L'amore più profondo non può essere facilmente compreso.

人魚

私は人魚じゃないのよ

人間なの

でも強い人間は私を拘束して

水槽にいれて沈めて鑑賞してる

「ちがうの、私は人間よ」

って叫ぶけど

口から出るのは声じゃなくて水泡で

彼らには何も聞こえない

外から見てる人たちは私が人間でも人魚でもどっちでもよくて

ただ可愛いね って愛しているフリをして満足しているの

私はコレクションにすぎないから

意思なんて無い方がいいから

 

 

もう無理、息ができない

 

 

最後に一瞬だけ もがいてみた

暖かくて柔らかい手の感触がした気がして

不意にぐっと持ち上げられ身体が水上に出た

初めて感じる酸素に肺がついていかないけど

しっかりと私を掴んだその人は頭を撫でて人工呼吸?ううん、キスをした

 

「君は僕と同じ、人間だね」

 

優しい声に目を開ける

まっすぐな人間

こんなにまっすぐなのは水の屈折がないからかしら

その人はとても綺麗で

こんなに美しい人間がいるなんて信じられなかった

水の中にいた頃は人間が憎かったけど

貴方に恋をしたら

この世界までも愛おしく思えてしまったのです