哲学と冗談

L'amore più profondo non può essere facilmente compreso.

落ちた話

私が恋に落ちた瞬間の話をしよう。

 

中学3年生のとき、同じクラスのミヤザキくんと一緒に帰っているときに公園とかによくいる蚊の集中スポット(蚊柱)を見つけて彼が言った。

「集まり虫だ。」

「集まり虫?」

「俺が考えた。」

私は恋に落ちた。

その、自信に。

 

高校3年生のとき、クラス全員でとなりのトトロを鑑賞するイベントがあり、めいがトトロと初めて出会い「あなたトトロって言うのね!」と叫ぶ場面、

あの日本アニメ映画史上最も有名なシーンで、隣の席のカワイくんが

「病原菌とか大丈夫かな……。」

と呟いたとき、私は恋に落ちた。

その、ぬかりない気配りに。

 

大学3年生のとき、同じ学科のフカザワくんが

「最近何を見ても勃たなくて……。でもジュンク堂で立ち読みした物理の参考書の証明があまりにも美しくて勃起しちゃった……。」

と告白してきたとき、私は恋に落ちた。

その、何周もした人生観に。

 

3年くらい前、年上のおじさんハヤカワさんにイタリアのお土産を買ってあげようと思って何がいいか聞いたとき

「何でもいいよ。そこでしか見つけられないものがいいな。落ちてるチラシとか。」

そう、私は恋に落ちた。

その、物事の本質を突いた視点に。

 

 

こんな風に自分の観測範囲外の概念を積極的に教えてくれる人、本当に好きだ。

もっと、もっと見せて欲しい。

 

予定調和ではない新発見を。

その人間固有の美学を。

私の知らない世界の一部を。