手洗い場の石鹸が、みんなの汚れを落とす間、しっかりと汚れていく
誰かが美しくなる間、ずっと汚くなって、小さくなって、
君が幸せなら、私は醜くなっても、見えなくなっても構わない、
なんて、わかるかい?それは優しさなんかじゃない、限りなく憎悪に近い感情で、むしろこのアンビバレンスを、いかように運営していくか、そこに思慮深さが出るのではないでしょうか
もし私が赤い眼のサソリに会っていたら、このことでこんなにも苦しまなかったでしょうに、と、教皇は少し苦笑いをして、煤のついた手に石鹸を擦った。