女帝は自身の長い金髪を解きながら窓の外を見る。
ガラスに反射した自身の姿、年齢は重ねてきたけれど、この蜜のような金糸と真珠のような玉肌だけは妙齢の頃よりも美しい。
夕べの愛の印が傷む。
この痛みが彼との結果の痛みであるのならいっそ心臓まで奪っていって。私の情熱はそこにあるの。
愛情も豊穣も感情も欲情も、他人には動かせない恩寵の奇跡。
人は大自然を前に己の無力さを知るけれど、その心は挫折ではなく母なる大地への愉悦ではないかしら。
女帝は傍のフェニックスを愛撫する。
私はまた生きることができるのね。
夜の帳に包まれながら、新しい命への慈愛を口にした。