暗い中で水を飲もうとしたら、コップの底になにか黒くて丸くてガサガサしたものが入っていたけど気にせず飲んでしまった。
退廃的で大雑把で健気で、一途だ。
感情も欲求も一切無くして、遠い夜に誘われてただ1人歩く。
池の水は無くなってしまったから、足下が自分の轍になって。
これが一度きり、そう思っていてもまだ二度目、三度目があると期待して、熱帯夜の眩しさに視力を奪われながらも進んだ先に、彼の言う"希望"はあるのだろうか。
20日後の審判に復活の喇叭。
もうじき朝が来る。
彼はこんなにも透明で、あるいはその逆で見ている側の方にこそ実態が無いのだ。
見たことのない景色と彼の知らない物語。
いなくなる前に戻ろうとしても、それは既に別人。