絶望と欲望と杏子

Questa è la vita.

エポニーヌ

※この記事はミュージカル版「レミゼラブル」の登場人物エポニーヌが実在する世界線で書かれました。私の勝手な妄想です。ご了承下さい。

 

 

報われない恋の代名詞、エポニーヌ。

 

ずっと恋い焦がれていたマリウスには恋心を気づいてもらえず友達以上の扱いを受けないままぽっと出の美女コゼットにマリウスを一瞬で奪われ(原作ではマリウスがコゼットに恋をする方が先ですが、ここでは語りません)、コゼットとマリウスがお近づきになるのを手助けしたりコゼット家に泥棒や警察が入るのを身体を張って阻止したりそれは全てマリウスの笑顔を見る為だけど、自分が壊れそうになりながらも必死にマリウスを想い続け最期はマリウスを守る為自ら銃弾を浴びて死ぬ。

一方でマリウスは犬死しそうになっているところをジャンバルジャンに助けられてのこのこ生き残りトントン拍子でコゼットと結婚、金持ちの爺さんとも和解して資産家の家で優雅に暮らす。(なぁ〜にがEmpty chairs at empty tablesだ、お前もemptyにしてやろうか)

 

嗚呼、エポニーヌ……。

いくら幼少期にコゼットより少しばかり良い暮らしをさせてもらっていたとしても、テナルディエ達の悪行を手伝っていたとしても、貴女の人生はあんまりではありませんか。

 

【All my life I've only been pretending】
【私の人生は全部見せかけのもの】

 

と歌う貴女を抱きしめてあげたい。

見せかけなんかじゃない。

貴女の美しい精神は今でもミュージカル界に継承されているからね。

 

例えばほら見て。

レミゼラブルのミュージカルにおいて、貴女は女性の役の中で最も憧れる役だと言われているわ。

有名なのは夢やぶれてを歌ったファンティーヌだけど、若い歌手の間では貴女が1番の人気。

コゼット役は若手の登竜門なんて言われちゃって、正直貴女よりも実力が必要とされる役ではないし目立たないわ。

貴女がいないとレミゼラブルは成り立たないの。未来永劫。

 

私も小さい頃ミュージカルクラブに入っていてね。

プリンシパルを目指していたけれど、幼い私はコゼット役が1番幸せだと思っていた。

それが大きな勘違いということは、ずっと後になってから理解するのだけど。

コゼットは綺麗な衣装も着れるし、マリウスにはお姫様扱いされるし。

私は迷わずコゼット役を受けて合格(今思うとコゼット役は競争率が低かっただけなんだけど)、本番へ挑んだわ。

 

でもねエポニーヌ、美しいシルクのドレスも可愛らしい髪型も、貴女の生き様には少しだって勝つことができなかった。

ねえこんなことあると思う?あの幸せなコゼットも、舞台では貴女の引き立て役よ。

コゼットのソロで観客は表情1つ動かさない。そもそもコゼットにちゃんとしたソロなんてあったっけ?なんて言う人もいるかもね。

そんな人たちも、貴女のOn my ownを聴くと全員涙を流してうっとりするの。

これは、貴女のためのミュージカルなのよ。

 

いつも孤独だった貴女、

片想いを具現化した貴女のことを世界中の誰も忘れることはないでしょう。

 

どうか安らかに、恵みの雨に抱かれて。